勉強法

日本史・世界史の教科書は用語暗記のためではなく通史の復習と論述対策に使うべき

日本史・世界史の教科書は用語暗記のためではなく通史の復習と論述対策に使うべき

教科書は基本であっても難しい



「教科書はすべての基本!だからとにかく読め!」といったことを、学校の先生などから助言されると思います。

受験生の皆さんは、日本史や世界史の教科書をどのように読んでいますか? 勘違いしないでもらいたいのは、「基本イコール簡単」ではないということです。学校の先生とは違い、初学者の受験生にとって、社会科の教科書ははっきり言って難しいです。

教科書が初学者にとって難しいのは、その記述があまりに簡潔だからです。教科書の記述は、授業などで本来解説すべき、理解に必要な「行間」がことごとく省かれています。だから、教科書だけを読んで通史を理解しようとするのは正味無謀なのです。

授業の先取りとして通史を進めたければ、市販の参考書を用いてゆっくり理解していくのが無難かと思います。

では、教科書はどのような際に有用なのでしょうか? それは二つに大別できます。一つは通史の復習、もう一つは論述対策です。

まず、復習。一度理解した通史が自分の頭に定着しているか確認する際に、教科書の簡潔な記述を逆に利用することができます。教科書を通読して理解が追いつけば、その範囲の通史はある程度おさえられているとわかるからです。教科書は試験前の復習や、通史の二周目の際に大変有用といえます。

次に、論述対策。教科書は大学教授をはじめとしたプロフェショナルによって書かれています。膨大な情報量を有する歴史を一冊にまとめることができるのも著者の技量の高さゆえであり、教科書の一文一文はとても洗練されていて高級です。簡潔に過不足なく記述するというのは、論述問題に対峙する受験生にとって理想の姿勢ともいえます。そう、教科書は論述問題のお手本なのです。

上に挙げた二つの場面における教科書の使い方を、以下で具体的に示していきます。

通史復習の際には教科書の記述に問いを設けながら読む



日本史・世界史では、「同時代他地域との比較」や「別時代同地域との比較」が理解に役立ちます。

例えば、次の記述。

...西ヨーロッパの封建的主従関係は、主君と家臣の双方に契約を守る義務がある(双務的契約)のが特徴で,主君が契約に違反すれば家臣には服従を拒否する権利があった。... (『詳説世界史B』(山川出版社)p130)


中世西ヨーロッパのフューダリズムは頻出分野で、中でも古代中国の封建制度との比較がよく問われます。上の記述に差しかかった時に、「古代中国の封建制度と比較せよ」と問いを自ら立て、「中世西ヨーロッパでは双務的、古代中国では片務的な主従契約が特徴的であった」といった回答を用意できればOKです。

教科書は事実の叙述に留まっているため、「なぜか」「どういう意味か」といった入試で問われる部分を自分で補うことで、理解が深まります。

論述対策の際には教科書のフレーズを盗みながら読む



日本史・世界史の教科書は、優れたフレーズの宝庫です。

...皇帝礼拝を強制したディオクレティアヌス帝は、帝国全土で[キリスト教徒の]大迫害を行ったが、...勢力を増したキリスト教徒を取り込むことがむしろ得策と考えたコンスタンティヌス帝は、313年ミラノ勅令を発してキリスト教を公認し、教会組織を帝国の統治機構に組み込んで皇帝権の強化をはかった。...(『新詳世界史B』(帝国書院)p33)


ディオクレティアヌス帝の皇帝崇拝に抵抗するキリスト教徒勢力の増加を鑑みたコンスタンティヌス帝が、ミラノ勅令でキリスト教を公認し、以後ヨーロッパがキリスト教社会として歩んでゆく画期となった出来事です。

ディオクレティアヌス帝とコンスタンティヌス帝のキリスト教徒に対する施策を比較せよ、といった問題に対しては、上の教科書の記述がそのまま使えます。特に、「ミラノ勅令」は外せないキーワードでしょう。キーワードを文ごと覚えておくことで、書き漏らしを防ぐことができます。

このように、論述問題を解く際に使えると思ったフレーズをマークするなりノートに写しとるなどして、頭に入れておきます。様々な機会で論述を書く際、覚えたフレーズを「パクって」使ってみましょう。繰り返してゆくと、簡潔かつ過不足ない記述が自然と書けるようになります。

また、教科書を複数種手元に置いておくのも有効です。とりわけ世界史の教科書は種類が豊富です。例として、『詳説世界史B』(山川出版社)、『新世界史』(山川出版社)、『世界史B』(東京書籍)、『新詳世界史B』(帝国書院)などが挙げられます。同じ歴史的事象がそれぞれの教科書においてどのように記述されているか、読み比べをすることで、表現力は一層洗練されます。

教科書を用語暗記のために使うのは勿体ない



教科書に出てくる歴史用語に片っ端から暗記ペンを施す受験生がたまにいます。それで覚えられないとは言いませんが、用語暗記は『書きこみ教科書』や一問一答集などを用いた方が効率的です。教科書は前のセクションで述べたような、記述の簡潔さを活かした用途に限定しましょう。

戦略的である者が受験を制します。教科書を漫然と読んだり、用語暗記に終始して時間を浪費するようなことがあっては相当不利に立たされると心しておきましょう。