勉強法

(等差数列)×(等比数列)の和は階差数列に直して求めると計算ミスが大きく減る

(等差数列)×(等比数列)の和は階差数列に直して求めると計算ミスが大きく減る

(等差数列)×(等比数列)の和を求める一般的な解法は、計算量が多い


数学Bの数列の分野には必ず登場する、(等比数列)×(等差数列)型の問題。

教科書の例題レベルであるにも関わらず、計算ミスが起こりやすく正確に解き切ることが難しい問題です。

例題


次の和を求めよ。
\[
\begin{aligned}
S &=\sum_{k=1}^{10}(3k-2) 2^{k} \
&=1 \cdot 2 + 4 \cdot 2^2 + 7 \cdot 2^3 + \cdots +28\cdot 2^{10} \
\end{aligned}
\]

一般的な解法は、「$S-rS$型」に持ち込むというものです。

この場合、公比は2なので、$S-2S$を計算します。

\[
\begin{aligned}
S&=&1 \cdot 2 + & 4 \cdot 2^2 + 7 \cdot 2^3 + \cdots +28\cdot 2^{10} \
-)~~ 2S&=& & 1 \cdot 2^2 + 4 \cdot 2^3 + \cdots +25\cdot 2^{10} +28\cdot 2^{11} \
-S&=&1 \cdot 2 +& 3 \cdot 2^2 + 3 \cdot 2^3 + \cdots +~~ 3\cdot 2^{10} -28\cdot 2^{11} \
\end{aligned}
\]

ここで最終行を等比数列の公式などを利用して計算すればいいのですが、項が合計で11個もあるので計算は簡単ではありません。

ですが、実はこの問題を素早く解くための解法が存在します。

階差数列に置き換える手法が強力


それは、「階差数列に持ち込む」という解法です。

もし、何らかの$k$の式$f(k)$が存在して、シグマの中身$(3k-2) 2^{k}$を$f(k)-f(k-1)$と置き換えることができたら、

\[
S =\sum_{k=1}^{10}(3k-2) \cdot 2^{k} =\sum_{k=1}^{10} \left\{ f(k)-f(k-1) \right\}=f(10)-f(0)
\]

となります。

$S$を求めるには$f(10)$と$f(0)$だけ計算すればよいため、計算量は$S-rS$型よりずっと少なくなることがお分かりでしょうか。

さて、$f(k)$を求めます。$a,b$を実数として
\[
f(k)=(ak+b)2^{k+1}
\]
とします。つまり、$f(k)=(k $ の1次式)×(2の累乗)の形です。

2の累乗の部分は$k$乗でも$k+1$乗でもいいのですが、$a,b$を整数にして求めやすくするために$k+1$乗にしています。

そして、
\[
f(k)-f(k-1) = (3k-2) 2^{k} ~~ \cdots (*)
\]
が成り立つように$a,b$を求めます。
\[
f(k)-f(k-1) = 2(ak+b)2^{k}-\left\{ a(k-1)+b \right\}2^{k} = (ak+a+b)2^{k}
\]
したがって、式$(*)$と比較して次の連立方程式が得られます。

\[
\left\{
\begin{array}{ll}
a&=3 \
a+b&=-2 \
\end{array}
\right.
\]

これを解いて、$a=3, b=-5$となるので$f(k)=(3k-5)2^{k+1}$と求まります。

よって、答えは

\[
S=f(10)-f(0)=25\times2^{11}-(-10)=51210
\]

練習問題


問題


次の和を求めよ。

\[S_{1}=\sum_{k=1}^{n}k \left( \frac{1}{3} \right)^{k}\]

\[S_{2}=\sum_{k=1}^{n}k^2 3^k\]

解答



  1. $a,b$を実数として、$f(k)=(ak+b)\left( \frac{1}{3} \right)^{k}$とおく。($ \frac{1}{3} $の$k$乗となっている理由は、のちに現れる連立方程式の係数を整数にして計算を簡単にするためです。もちろん、$k+1$乗でも同じ答えが導けます。)

    \[
    \begin{array}{ccl}
    f(k)-f(k-1)&=&(ak+b)\left( \frac{1}{3} \right)^{k}-\left\{ a(k-1)+b \right\}\left( \frac{1}{3} \right)^{k-1} \
    &=&(-2ak+3a-2b)\left( \frac{1}{3} \right)^{k}
    \end{array}
    \]

    これが$ k \left( \frac{1}{3} \right)^{k}$と等しくなるとき、係数比較をして

    \[
    \left\{
    \begin{array}{ll}
    -2a&=1 \
    3a-2b&=0 \
    \end{array}
    \right.
    \]

    これより$a=-\frac{1}{2}, b=-\frac{3}{4}$なので、
    \[
    f(k)=\left( -\frac{1}{2}k-\frac{3}{4} \right) \left( \frac{1}{3} \right)^{k}
    \]
    と表せる。よって、
    \[
    S_{1}=\sum_{k=1}^{n} \left\{f(k)-f(k-1)\right\} =f(n)-f(0)=\left( -\frac{1}{2}n-\frac{3}{4} \right) \left( \frac{1}{3} \right)^{n}+\frac{3}{4}
    \]

  2. この問題はそれぞれの項が($n$の2次式)×(3の累乗)の形になっていますが、考え方は基本的に同じです。なお、これを$S-rS$型で解こうとすると非常に大変です。
       
    $a,b,c$を実数として、$f(k)=(ak^{2}+bk+c)3^{k+1}$とおく。\[
    \begin{array}{ccl}
    f(k)-f(k-1)&=&3(ak^{2}+bk+c)3^{k} - \left\{ a(k-1)^{2} + b(k-1) + c \right\} 3^{k} \
    &=&\left\{ 2ak^{2}+(2a+2b)k-a+b+2c \right\} 3^{k}
    \end{array}
    \]

    これが$k^2 3^k$に等しくなるとき、係数比較をして

    \[
    \left\{
    \begin{array}{ll}
    2a&=1 \
    2a+2b&=0 \
    -a+b+2c&=0
    \end{array}
    \right.
    \]

    これより$a=\frac{1}{2}, b=-\frac{1}{2}, c=\frac{1}{2}$なので、
    \[
    f(k)=\left( \frac{1}{2}k^{2}-\frac{1}{2}k +\frac{1}{2} \right) 3^{k+1}
    \]
    と表せる。よって、
    \[
    S_{2}=\sum_{k=1}^{n} \left\{f(k)-f(k-1)\right\} =f(n)-f(0)=\left( \frac{1}{2}n^{2}-\frac{1}{2}n +\frac{1}{2} \right) 3^{n+1} - \frac{3}{2}
    \]