勉強法

勘やセンスに頼らない整数問題の考え方①範囲を絞りこめ!(part 4)

勘やセンスに頼らない整数問題の考え方①範囲を絞りこめ!(part 4)

整数問題を雰囲気で解いていると、いつまでも足を引っ張られる



整数問題は、お決まりの解法が少ない(複数の解法を色々考えて試さなければいけない)ため、苦手とする受験生がとても多いです。

苦手意識のある受験生は、「整数問題は、数学的なセンス・勘に頼らないと解けない」と思い、対策を放棄しがち。結果、なんとなく雰囲気で解いてしまい、整数問題が受験生にとってのアキレス腱であり続けます。

たしかに整数問題は、お決まりの解法こそありません。しかし、考え方・方針の立て方はある程度前もって定まっています。視点を体得すれば、解法の方針を立てるまでに要する時間を減らすことができます。

前回から引き続き、『範囲を絞りこめ!』を扱います。

範囲を絞りこむ具体的な考え方④積の形の利用




問題:
$x^3-y^3=19$を満たす自然数$x,y$の組を全て求めよ。
(京都大学・改題)


せっかくなので、今までに扱った手法をそれぞれ試してみましょう。

対称性……そもそも対称式ではありません。$x$を$y$、$y$を$x$にそれぞれ置き換えると、$y^3-x^3=19, -x^3+y^3=19$となり、元とは別の式になってしまいます。対称性は使えない……

離散性……ぜひ利用したいところですが、このままではどうしようもありません。

判別式……$3$次式で判別式を用いるのは一般的ではありませんね。

この問題で有効となるのは、積の形に変える手法です。具体的には、因数分解を用います。

なぜ積の形にすると値が絞りこめるのでしょうか?

例えば、和の形。
$x+y=5$($x,y$は整数)を満たす($x,y$)の組は無限に存在します。他の条件がない限り、これ以上絞りこむのは不可能です。

一方、積の形。
$xy=5$($x,y$は整数)を満たす($x,y$)の組は($1,5),(5,1),(-1,-5),(-5,-1)$の$4$つしか存在しません。$x,y$は$5$の約数なので(約数は有限個しかありません!)、圧倒的に絞りこむことができます。

積の形の利用は、シンプルかつ論理的な絞りこみの手法です。因数分解できそうだったら積の形を利用すると覚えておきましょう。

能書きは以上にして例題を解きます。

$x^3-y^3=19$を因数分解すると、$(x-y)(x^2+xy+y^2)=19$となります。

素因数分解すると、$19=1×19$だから、上の式を満たす整数(整数ですよ!)($x-y$,$x^2+xy+y^2$)の組は、$(1,19),(19,1),(-1,-19),(-19,-1)$の$4$通りに絞りこむことができます。

あとは、$4$通りそれぞれについて連立方程式を解けば、適切な($x,y$)の組が過不足なく見つかります。例えば、($x-y$,$x^2+xy+y^2$)=($1,19$)のとき、連立方程式

$\left\{
\begin{array}{@{}1}
x-y=1\
x^2+xy+y^2=19
\end{array}
\right.$

を解きます。解法はさまざまですが、$x-y=1$を$y=x-1$と変形し、$x^2+xy+y^2=19$に代入すればOKですね。結果、自然数$x,y$の組($3,2$)が解として出てきます。

他$3$通りについても同様に連立方程式を解くと、解答は以下のようになります。確かめてみてください。


解答
($x,y$)$=$($2,3$)$,$($3,2$)


練習問題




問題
$7(x+y+z)=2(xy+yz+zx)$を満たす自然数$x,y,z$($x\leq y\leq z$)の組を全て求めよ。
(大分大学・改題)


※ヒント:今までに扱った、対称式から不等式を作る手法、離散性への注目、積の形の利用、を総動員しましょう。

解答



$x\leq y\leq z$より、

$\begin{align}
7(x+y+z)&=2(xy+yz+zx) …①\\
&\ge 2(x^2+yx+zx) \\
&=2x(x+y+z)
\end{align}$

※対称式を利用した変形

$x+y+z>0$より、$7\ge 2x$だから、

$x\leq \frac{7}{2}$

この必要条件より、自然数$x$の値は$1,2,3$のいずれか。

※整数の離散性の利用

$(1)x=1$のとき、①に$x=1$を代入すると、

$7(1+y+z)=2(y+yz+z)$となり、整理して、

$2yz-5y-5z-7=0$

$∴(2y-5)(2z-5)=39$

※積の形の利用

$y,z$は自然数だから、$2y-5\ge -3,2z-5\ge -3$

これと$2y-5\leq 2z-5$より、整数$(2y-5,2z-5)$の組は、

$(1,39),(3,13)$

よって、$(x,y,z)=(1,3,22),(1,4,9)$なる解が見つかった。

$(2)x=2,(3)x=3$のときについても同様の処理を行えばよい。

※長くなるのでここでは省略します。実際は記述が必要です。

以上より、求める$(x,y,z)$の組は、次のようになる。


解答
$(x,y,z)=(1,3,22),(1,4,9),(2,2,20)$


画像引用:instagram.com