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勘やセンスに頼らない整数問題の考え方①範囲を絞りこめ!(part 1)

勘やセンスに頼らない整数問題の考え方①範囲を絞りこめ!(part 1)

整数問題を雰囲気で解いていると、いつまでも足を引っ張られる



整数問題は、お決まりの解法が少ない(複数の解法を色々考えて試さなければいけない)ため、苦手とする受験生がとても多いです。

苦手意識のある受験生は、「整数問題は、数学的なセンス・勘に頼らないと解けない」と思い、対策を放棄しがち。結果なんとなく雰囲気で解いてしまい、整数問題が受験生にとってのアキレス腱であり続けます。

たしかに整数問題は、お決まりの解法こそありません。しかし、考え方・方針の立て方はある程度前もって定まっています。視点を体得すれば、解法の方針を立てるまでに要する時間を減らすことができます。

今回から4度にわたり、『範囲を絞りこめ!』を扱います。

範囲を絞りこむ具体的な考え方①対称性の利用




問題
$\frac{x+y}{z},\frac{y+z}{x},\frac{z+x}{y}$がすべて自然数となるような相異なる自然数の組$(x,y,z)$を求めよ。


このような式を「対称式」であると気づくことが解答への第一歩です。対称式とは、変数を入れ替えても変わらない数式のこと。上の式について、$x$を$y$に、$y$を$z$に、$z$を$x$に入れ替えてみても、同じ数式となりますね。

対称式を扱うとき、以下の性質を用いて数値の範囲を絞りこめることが多いです。


性質
与式が対称式ならば、$x,y,z$のどれを入れ替えても式が変わらないなら$x<y<z$などとしても一般性を失わない。


以上の性質に基づき、$x<y<z$であると仮定します。$x<y<z$だから、$\frac{x+y}{z}$を変形し、

$\frac{x+y}{z}<\frac{z+z}{z}=\frac{2z}{z}=2$

∴$\frac{x+y}{z}<2$

問題文より、$\frac{x+y}{z}$は自然数だから、$\frac{x+y}{z}=1$。

$\frac{x+y}{z}=1$より、$x+y=z$が得られ、問題文中の$z$を$x,y$で表すことができます。あとは例えば$\frac{z+x}{y}$に$z=x+y$を代入してみると、$x,y$の関係式が導かれます。

ただし、解答の最後に、仮定した$x<y<z$の制限を外す必要があります。

今回は$(x,y,z)=(k,2k,3k)$ (kは自然数)という答が導かれます。しかし例えば$y<z<x$と仮定していたとしたら、$(x,y,z)=(3k,k,2k)$ ($k$は自然数)という答が出てきます。

あくまで$x,y,z$の大小関係がどのようなものであっても、ある解に至るまでの論理展開が同様であるために、あるひとつの大小関係の場合について議論したのです。

だから、ここまでの解答に不備はありませんが、答を記す際は(順不同)などの注釈が必要です。

※$(x,y,z)=(k,2k,3k),(k,3k,2k)$...のように、全ての場合を列挙しても構いません。


解答
$(x,y,z)=(k,2k,3k)$ ($k$は自然数)($k,2k,3k$は順不同)


練習問題


問題



$2\leq p<q<r$を満たす整数$p,q,r$の組のうち、$\frac{1}{p}+\frac{1}{q}+\frac{1}{r}\ge 1$となるものを全て求めよ。


解説



$2\leq p<q<r$より、$0<\frac{1}{r}<\frac{1}{q}<\frac{1}{p}\leq \frac{1}{2}$

これと、条件の不等式から、

$1\leq \frac{1}{p}+\frac{1}{q}+\frac{1}{r}<\frac{1}{p}+\frac{1}{p}+\frac{1}{p}=\frac{3}{p}$

$∴p<3$

これと条件の$2\leq p$から、整数$p$の値は$p=2$に絞られる。

あとは、条件式$2\leq p<q<r$と、

与式$\frac{1}{p}+\frac{1}{q}+\frac{1}{r}\ge 1$に$p=2$を代入し、

整理した$2<q<r$、$\frac{1}{q}+\frac{1}{r}\ge \frac{1}{2}$を得る。

これについて、今までと同様の絞りこみを行う。

$\frac{1}{2}\leq \frac{1}{q}+\frac{1}{r}<\frac{1}{q}+\frac{1}{q}=\frac{2}{q}$

$∴q<4$

これと条件$2<q$から、整数$q$の値は$q=3$に絞られる。

あとは条件式と与式に$p=2,q=3$を代入することで、$r=4,5,6$が解に適することがわかる。

よって$\underline{(p,q,r)=(2,3,4),(2,3,5),(2,3,6)}$

※条件式の$2\leq p<q<r$が、$p,q,r\ge 2$となっており、$p,q,r$の大小関係がわからなかったら。

与式は対称式だから、例題のように$2\leq p<q<r$と自分で設定して、解が出たら自分で設けた制限を外す(順不同にする)、という方針でいきましょう。

画像引用:instagram.com