勉強法

漢文で『訳したつもり』にならないためには書き下し文ではなく現代語訳で考える

漢文で『訳したつもり』にならないためには書き下し文ではなく現代語訳で考える

句法では「訳したつもり」になるだけ


高校から始まった漢文にも慣れてきて、句法は分かっているはずなのに結局何の話かよく分からなかった、という経験はないでしょうか。

漢文は国語とはいえもともとは外国語。文法に相当する句法を覚えることはとても大切です。

しかし残念ながら句法だけで漢文を読解することは出来ません。句法は漢文を読む上での最低限の知識に過ぎないからです。

句法が分かっていれば書き下し文にすることが出来ます。なぜ、書き下し文まで出来ていながら話の内容がよく分からないない、ということが起こるのでしょう。

それは、漢文読解が単に書き下し文に直す作業で止まってしまっているからです。

漢文読解の最終的なゴールは分かりやすい現代文に訳し直せること。そのために書き下し文が必要になるのです。

書き下し文に直すだけでは漢文を「訳した」とは言えません。

漢文読解のためには、まず書き下し文に直して、さらにその先に1ステップ踏む必要があるのです。

漢文の書き下し文を分かりやすい現代語に訳す


「読み終わったはずが何の話かよく分からなかった」ということは、具体的には「書き下し文には直したが文章の意味は分からなかった」ということです。

いかに書き下し文と分かりやすく訳した現代語が違っているのか、教科書にも頻出の『先従傀始』からの引用で考えてみましょう。

隗曰く、古の君、千金を以て涓人をして千里の馬を求めしめし者有り。死馬の骨を五百金に買いて返る。君怒る。涓人曰く、死馬すら且つ之を買う。況や生ける者をや。馬、今に至らん、と。


隗が言うには、昔、君主で涓人に千金で千里の馬を買わせようとする者がいた。涓人は、死んだ馬の骨を五百金で買って帰ってきた。君主は怒った。涓人が言うには、死んだ馬ですら買うのだから、生きている馬を買うことは言うまでもない。買い手を待つ馬が今にでもやってくるはずです、と。

書き下し文は現代語に比べて省略が非常に多いことに気がついたでしょうか。例えば「死馬すら且つ之を買う。況や生ける者をや。馬、今に至らん」の部分。

「況」の句法が分かっていれば、書き下し文に直すことは出来ます。しかし、なぜ死馬を買えば馬が今にもやってくることになるのかということは書き下し文からは読み取れません。

書き下し文を現代語訳に訳すときも、可能な限り因果関係をはっきりさせます。

具体的には「誰がそうしたのか」「どうしてそうなったのか」など、漢文に文字として書かれていない情報を考えながら訳します。いわゆる「行間を読む」作業です。

今回の場合だと、今にも至ろうとする馬はどんな馬で、どうして至るのか、という情報です。

句法で書き下し文に直し、書き下し文を現代語に訳し、行間から文字にない因果関係まで読み取れたらようやく漢文読解終了。

書き下し文のままで読むと「誰が?」「何で?」と多くの疑問を残しながら文章を読み終えてしまいます。

これが「読み終わったはずが何の話かよく分からない」ということが起こり得る理由です。

漢文の復習は白文を自力で訳せるまで



1回読んだことのある漢文は白文で読めるようになるまで復習します。

入試や模試で出題される漢文の多くは訓読点と送り仮名がついたもの。

なのになぜ入試より難しい白文で復習とするのかというと、入試では「傍線部に返り点をつけよ。」「傍線部に訓読点と送り仮名をつけよ。」のような、解答に直結する部分は白文である場合が多いからです。

つまり、白文を読む力がないと、文章全体の意味は取れたとしても個々の設問に解答出来ないということが起こるのです。

復習の方法は、まずは白文に訓読点と送り仮名をつけます。

次に、書き下し文に直します。

そして最後に現代語に訳します。

例えば訓読点がつけられなかったなら、訓読点の使い方かその漢文の内容把握がまだ不十分だということです。

書き下し文に出来なかったなら、句法の知識を復習します。

現代語に訳しづらかったなら、各用法の意味が分かっていないか単語の意味が分かっていないかです。用法は文法書で、単語の意味は辞書か解答解説で確かめて暗記します。

白文から現代語訳までのプロセスを丁寧にこなすことで、入試で設問部分が白文でも確実に解答できるようになります。