合格体験記

『知識の網を作ることを重視』東京大学理科三類合格者の高3の化学の授業の受け方

『知識の網を作ることを重視』東京大学理科三類合格者の高3の化学の授業の受け方
年度
2016年(現役)
入学
東京大学教養学部
合格大学
早稲田大学創造理工学部
慶應義塾大学理工学部
出身高校
茨城県立土浦第一高等学校
センター試験
英語 190点 / 数I・A 90点 / 数II・B 95点 / 国語 166点 / 化学 96点 / 物理 95点 / 地理 74点

高3の化学の授業(演習を含む)で扱った教材を全て教えてください。


教科書は啓林館の「化学」、問題集は啓林館の「センサー」と数研出版の「化学重要問題集」、そしてセンター試験対策用のものを3冊ほど利用していました。

ただし授業では、先生方が作成した授業用のプリントを利用していました。1年間で100枚は優に超えていましたね。

高3の化学の授業の「予習の仕方」について具体的に教えてください。


実は、化学の予習はほとんど行っていませんでした。予習をする時間が無かった、といった方が正確かもしれません。

ですが、これにはきちんとした理由があります。タイムマネジメントが非常に重要になってくる高3の時期になると、予習よりも授業後に問題演習を重ねて復習をしたほうがよっぽど効率よく学習できると感じていました。

そのため、予習はあまり重視していませんでした。実際、これは入試を終えた今でも正しかったと感じています。

僕の場合、あくまでも学校のカリキュラムに沿って授業を受け、3年の10月に教科書の内容を全て理解しました。

10月に授業が終了した後は、先生が配布したプリントを授業前に解いておき授業中に解説を聞く、というスタイルを取っていました。

高3の化学の「授業の受け方」で意識していたことを具体的に教えてください。


化学はほぼ「比」に支配された分野です。ところが、問題を解くのはなかなか骨が折れます。これは物理と違ってイメージを持ちにくく、知識の丸暗記に陥りやすいこと、そして数値計算が恐ろしく面倒なことが原因です。

そこで、知識の丸暗記に陥らないためにも、理解して覚えるべきポイントは授業中に100%理解するようにしていました。

例えば、化学の理論分野で登場する「熱化学方程式」。ここで、

反応熱=(生成物の生成熱の和)-(反応物の生成熱の和)

という公式を習った人も多いと思います。ですが、なぜこれが成り立つのかは理解しているでしょうか。

これは、エネルギー図を書いてヘスの法則を適用してみれば一目瞭然です。実際こうするほうが本質的な理解につながっていると言えますし、応用もききます。

では、理解すべきポイントをつかむにはどうすればいいのでしょうか?

1番大事なのは、授業で先生が言うことをしっかり聞くことです。

物理の教科書の表現は厳密すぎる故に、分かりにくいものが多いです。そのため、教科書の内容をかみ砕いて表現し直す先生方のコメントは理解を助けるうえでの宝の山であることが多いのです。

先生が言ったちょっとした内容が深い理解をもたらすことはよくあります。先生の言うことにしっかり耳を傾けましょう。

一方、無機化学や有機化学の高分子などの分野では覚える事項があまりにも多いので、授業中に全て覚えきることが出来ませんでした。授業中はとりあえず1回目のインプットをして、復習に重点をあてました。

高3の化学の授業の「復習の仕方」について具体的に教えてください。


復習をするうえで僕が1番意識したことは、「知識の網」を自分の中に作ることです。

化学は「理論」「無機」「有機」の3分野に分かれていますが、最終的にはこれらの分野間を自在に横断して問題が解けるように「知識の網」を自分の中に構成することが必要です。

特に無機分野の学習が終わると、それまでばらばらだった知識がつながっていくのが分かると思います。丸暗記ではなく、系統づけていくことを重視していきましょう!有機分野の知識も完璧にすると最高です。

そして「知識の網」を万全にした状態で問題演習に移ると、知識問題は滞りなく解けるので効率も上がります。

無機分野の場合で具体的に説明しましょう。

無機分野を習い始めの時は覚えるべき知識量があまりにも多くて途方に暮れるかもしれません。そのときは、まず資料集や重要問題集の巻末にある「気体の発生方法のまとめ」から覚えていきましょう。

発生させる気体を見ただけでその反応式がすぐに書けるようになるのが第1段階。さらに気体の発生原理・発生装置・収集方法・検出方法まで思い出せるようになれば完璧です。

気体を終えたら、次は様々な物質の工業的生成方法です。きちんと反応式の流れと反応に要する条件(触媒など)を言えるようになれば大丈夫です。

そこから典型金属元素の性質と反応式、次に両性元素、遷移元素に関連する反応式やイオンの色、さらに沈殿の生成条件と系統分離の方法…というように連続的に知識を深めていきましょう。

気が付いたら、面白いほど知識が的確に引き出せるようになっているはずです。

これが、「知識の網」ができた状態です。「知識の網」ができるまでは時間がかかりますし、1回完璧にしたとしても勉強しなければ忘れてしまいます。(大学生になると本当に実感します…)

ですが、夏休みに1回目、10月あたりに2回目、センター試験対策で3回目を勉強すれば、大学受験までにはさすがに定着します。焦らずに少しずつ頑張りましょう。

高3の化学の授業は志望校の化学に役立ったと思いますか?その理由も含めて教えてください。


確実に役立ったはずです。2次試験の東大の問題は「難しい問題をじっくり考えて解くスキル」よりも「多くの標準問題を素早く正確に解き切るスキル」が重視されていますが、学校の授業で学んだのはまさにこのスキルでした。

最難関大学の東大だからといって無理に難しい問題集をやるのではなくて、重要問題集レベルの標準的な問題を繰り返し授業でも演習しました。

そして、最終的には問題を見た瞬間に解法が浮かび、鉛筆を止めずに動かし続けて正しい答えを出せるようになりました。これが合格への秘訣ではないか、と思っています。

大学受験を終えてみて化学の授業をより効果的に活用するにはどうすれば良いと思いますか?その理由も含めて教えてください。


予習よりも復習を重視して、授業で理解を深めていくのが良いと思います。特に公立高校生にお勧めしたい方法です。

公立高校は理科の進行が遅いとよく言われています。実際、教科書が全て終了するのは3年生の11月あたりで、東京の有名私立校と比較すると1年も差をつけられています。模試などでも習っていない範囲が出題され、点数がどうしても低くなりがちです。

この状況を心配して、塾で先取り学習を行う人が多くいるのも事実です。では、先取り学習は本当に必要なのでしょうか?

僕の経験からすると、先取り学習をする必要はありません!

公立の進学校のカリキュラムは、勉強時間の足りない公立高校生が東大レベルの難関大学で太刀打ちできるようにうまく組まれているはずです。

つまり、実力養成に時間のかかる基幹3教科を1,2年のうちに学習して、追い込みの効く理科を受験直前期に最小限の労力で入試レベルまで仕上げる順序になっています。

このようなカリキュラムだと、模試の成績は悪くなりがちです。しかし習ってない範囲の問題が出るのを嘆くのではなくて、既習範囲の問題を完璧に解き切ることに意識を向ける方がいいでしょう。

そうすれば模試の平均点は余裕で上回ることができるはずです。

でも、「そんなに進行が遅くて演習の時間が取れるの?」と心配する人もいるかもしれません。確かに僕もかなり心配しました。

ですが、授業と並行して重要問題集を並行して進めていき、授業が全部終了してからの最後の3か月でラストスパートをかけたら東大受験で戦える学力がしっかりついたのも事実です。

逆に先取り学習をしてしまうと、授業と塾でどうしても重複がでてしまい効率が悪いです。(ただでさえ勉強時間が足りないのに…)理科を予習する時間があったら、既習範囲の演習をするか英数国の勉強をした方が長期的な視点では効率が良くなると思います。

最後に受験生に学校の化学の授業に関するアドバイスをお願いします!


化学の問題は初見ではあまりにも難しくて点数が全く取れないと思います。そして試験時間も全然足りません。ですが、授業で基本事項を理解したうえで演習を重ねれば誰でもできるようになる分野であるのも確かです。

物理と異なりセンスなんて必要ありません。そして「多くの標準問題を素早く正確に解き切るスキル」が求められる分野です。時間はかかりますが、根気よく頑張れば道は開けます。

皆さんが、学校の授業をうまく利用して限られた時間の中で実力を付けていくことを願っています。